会長挨拶

  新しい時代の幕開けに向けて
        ー『恕』(じょ)のこころ

               山梨県弓道連盟会長 菊池 敏彦

 明けましておめでとうございます。会員各位のご清祥、本会の発展を心からご祈念申し上げます。新元号に切り替わる本年及びその後が、平和な豊かな時代になることを期待したいと思います。
 平成30年は、審査では多くの昇段昇格者が生まれました。特に、新錬士が8名誕生したことは特筆に値します。講習会の受講者も増加し、会員の上達への意欲を感じました。県内の各大会も熱戦が繰り広げられました。県外大会においては、本国体で少年女子が近的で1位を獲得、成年男子も本国体入賞はならなかったものの、関東ブロック予選を堂々の1位通過でした。今後は、全日本選手権大会や同遠的大会での上位入賞、関東ブロック大会での団体入賞が期待されるところです。
 平成31年、干支は亥年。「猪突猛進」の言葉の如く一直線に突き進む姿が浮かびますが、一方で基礎基本を要諦とする弓道においては、地に足をつけ地道にコツコツと稽古を積み重ねることも重要となります。同じ道場で切磋琢磨する弓友が互いに高めあうべく取り組んでほしいと思います。昨年に続き、喫緊の課題は会員数の増加です。県連では「初めての弓道、もう一度弓道」と銘打って弓道教室を開催し、毎年多くの方々が受講してくれています。また、多くの高校弓道部員が卒業しています。県内には機会があれば弓道をしたいと思っている方々が多くいると思われます。各支部、各道場においては、それらの方々を一人でも多く、「ともに弓道を楽しむ“仲間”」として道場に迎え入れる取り組みを、引き続き工夫してくれることを望みます。新しいメンバーが加わると道場の活性化にもつながります。教えあうことは、教わること以上に勉強になります。
 ここ数年の世界の動きをみると危機感を覚えるのは私だけではないと思います。多くの国の代表が自国の利益を優先することを「~ファースト」と声高に叫び、考え方の違う人、国を排除しようとしています。そんな中で、一人一人の心に根付いてほしいなと思う言葉が『恕』(じょ)です。孔子が弟子に「人として生きる上で大切な言葉がありますか」と問われたときに、「其恕乎、己所不欲、勿施於人也」(其(そ)れ『恕』(じょ)か、己(おのれ)の欲(ほつ)せ不(ざ)る所(ところ)を、人(ひと)に施(ほどこ)すこと勿(な)かれ)。と応じました。『恕』とは、思いやりの心です。『恕』とは、互いの違いを許す心です。弓道一つをとっても、取り組む姿勢や求めるものが人それぞれ違います。違っていて当然と言っても良いでしょう。自分とは求めるもの考え方がちがうからと言って遠ざけるのではなく、同じ道場のなかで、互いの違いを認めつつ、「弓道が好き」という一点でつながり、互いを高めあう環境づくりができるといいなと心から思います。この『恕』の心が世界に広がることを望みつつ年頭のあいさつとします。